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ぬか床の臭いの変化はなぜ起こる?原因と対策

recipe 料理のこと

天地を返すように混ぜていたのに「ぬか漬けの味が不味くなってしまった」「ぬか床から変な臭いがする」なんてことはありませんか?
かく言う私も、何度も失敗を繰り返しています。ぬか床に挑戦し始めたばかりのころは、ぬか床を変な臭いから救出することができず捨てるしかなかったのですが、失敗を繰り返すうちにぬか床の状態に合わせて混ぜ方を変えたり、塩加減を調整することで、復活できるようになりました。

今回はどうして失敗してしまったのか、どうすれば良かったのか、原因と対策をご紹介します。

酵母や菌のバランスに合わせてぬか床の混ぜ方を変えてみよう

「天地返し」という言葉に囚われ過ぎて

ぬか床の混ぜ方

ぬか床の混ぜ方で表現される「天地返し」とは、ぬか床の表層と深層を入れ替えることです。ぬか漬けを始めたばかりのころは、その言葉のとおりに天(表層)と地(深層)を入れ替えていました。ですが、しばらくすると変な臭いを放つように。臭いや味の変化に気が付きながらも何が原因なのか分からず、どんどん状態が悪くなり救出することもできず、ここで我が人生、初のぬか床は幕を閉じることに。

それから数ヶ月後、再チャレンジしてみたものの、やっぱり暫くすると鼻につく臭いと味になってきました。そこで、ぬか漬け動画をいろいろと見比べてみると自分の混ぜ方と違いがあることが分かりました。

ぬか床を表層・中層・深層に分けて図で見ると、私の混ぜ方は天地返しの言葉のとおり、表層と深層ばかりをひっくり返し、中層の部分が充分に混ぜられていない(空気に触れない)状態だったのです。もちろん、野菜を取り出すときや表層を混ぜるときに多少は中層にも空気が混ざりますが、それではかき混ぜ不足で、ぬか床は酸素が嫌いな菌が増え、ぬか床内のバランスが崩れてしまいました。

失敗から学んだ、ぬか床の混ぜ方

それと1度目の失敗では、もうひとつの敗因がありました。それは混ぜ忘れです。
中層の混ぜ方が足りないと、乳酸菌の活動が活発になり酸味が強くなるのですが、酸味が強くなるより臭いの変化の方が強かったので、混ぜ忘れによって表層(産膜酵母)と深層(酪酸菌)のバランスが崩れてしまいました。
※ぬか床の層については下記「ぬか床の基本」をご覧ください。

冷蔵庫での保管もほどほどに

冷蔵庫での保管もほどほどに

混ぜ方を理解して順調に漬けていたのも束の間…。今度は酸味、うま味のない、薄味のぬか漬けが出来上がるようになりました。

原因は2つ。混ぜることを忘れてしまうことが何度かあり、ぬか床を冷蔵庫で保管することが増えてきたこと。そして塩分を気にして、塩を少なめにしていたこと。

この冷蔵庫で保管、塩分少なめに共通して言えることは、乳酸菌が育ちにくくなるということです。ぬか漬けの酸味とうま味は乳酸菌の働きによるもので、活動に適している温度は20度〜25度。冷蔵庫に入れっぱなしでは乳酸菌の活動が鈍くなってしまいます。どうしても冷蔵庫で保管したい方は、1週間に1日くらいを目安にして冷蔵庫から出してください。

また塩分は雑菌の繁殖を抑える効果があります。逆に乳酸菌は塩に強いので雑菌の繁殖が塩で抑えられていれば活発に活動できますが、塩分を少なめにしたことでぬか床内の雑菌が増え乳酸菌の活動が弱くなっていまっていました。

また、乳酸菌(中層)は酸素が嫌いなので、混ぜ過ぎると酸味、うま味がなくなることがあります。酸味が少なく感じてきたら、中層部分までよく混ぜるのは休止してください。逆に酸味が強くなってきたら塩を控えめにしたり、空気を含ませるように混ぜてあげてください。

ぬか床の基本

ぬか床の3つの層

ぬか床には、層によって酵母や菌がいます。表層に産膜酵母菌、中層に乳酸菌、深層に酪酸菌。この3層のバランスが整っていると、ほどよい酸味とうま味が美味しいぬか漬けができます。

しかし、混ぜるのを忘れてしまったり、塩分や気温、水分量の変化で産膜酵母、乳酸菌、酪酸菌のバランスが崩れて変な臭いがしたり、美味しくないぬか漬けになります。ぬか漬けを始めたころは症状を調べても匂いや味が、それぞれの酵母と菌とどのように関わっているのか覚えられなくて「こんな症状のときはこうする」という応用ができないでいました。でもよっぽどの状態ではない限り、一朝一夕とは言いませんが復活できます。

下記の表は、それぞれの特徴や作用をまとめたものです。臭いの説明にアルコール、セメダイン、シンナー、蒸れた靴下の表現を多く見かけますが、私はどれもピンとこないため「この臭いは何だろう?」と思うことが多かったのですが、結論として変な臭いのときの原因は混ぜ不足のときがほとんどです。また前述のとおり混ぜ過ぎのときは、酸味とうま味がなくなりますので、味をみながら混ぜ方も調整してみてください。

産膜酵母菌
(表層)
酸素の多いところが
好き
増えすぎると…
 アルコール
 シンナー臭
 ツーンとくる臭い
乳酸菌(中層) 酸素の少ないところが好き 増えすぎると…
 酸味が強くなる
塩分が少なく減ると…
 雑菌が増える
酪酸菌(深層) 酸素が嫌い 増えすぎると…
 雑巾、
 蒸れた靴下のような臭い

美味しいぬか漬けを漬けるには、ぬか床の状況を判断して混ぜ方や塩を調整すること。一辺倒の方法では、うまくいかないぬか漬けですが、難しく考えず挑戦してみてください。

執筆者:tata

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