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高橋秀+藤田桜 素敵なふたり展は、本当にあこがれの素敵なふたり

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2019年7月6日から世田谷美術館で開催している「高橋秀+藤田桜ー素敵なふたり」展も9月1日まで。美術作家・高橋秀さんと布貼り絵作家・藤田桜さんの夫婦展。お互いに90歳前後になっても制作を続ける現役の芸術家です。現役の名にふさわしく、この展示会に合わせて、お二人ともに新作を展示しています。一人の芸術家そして、芸術家の夫婦の姿などざまざまな視点で感じることができる企画展ではないでしょうか。

高橋秀+藤田桜 素敵なふたり展は、本当にあこがれの素敵なふたり

ふたりは結婚後、世田谷で暮らしはじめ、1960年代のはじめにイタリアへ渡り、41年間ローマに拠点を置き活動を続けます。倉敷芸術科学大学教授になったことをきっかに、日本とローマを行き来することが増え、現在は岡山県倉敷市の沙美海岸にアトリエを構えて暮らしています。今回の展覧会は、お二人の暮らしが始まった世田谷や現在の住まいがある倉敷市など、ゆかりの地をめぐる全国巡回展です。

作家夫婦、ふたりの歩み

存在感があって圧倒的な強さがある一方で、その特徴的なフォルムは、孤独ではなく、まわりと調和しているようにも見える高橋秀さんの作品。そしてその色づかいは、幼いころの記憶にある「仲居さんの裾から、ちらりと見えた赤やピンクの”けだし”の色」にあるそうで、その様子を想像すると、ドキドキしてしまいます。

会場内は、壁面に高橋秀さんの作品があり、藤田桜さんの作品は、子どもでも観ることができるように、少し低めのショーケースに平置きで展示されているものが多くあります。藤田桜さんの作品は児童文学との共作も多く展示しているので、なかなかの読み応え。

そして、パネルにあるお二人の逸話やコメントからも、芸術への向き合い方やその土地での暮らしがわかり、微笑ましく、そして胸が熱くなりました。

心に残ったことば※展示の文章通りではありません

「まったく知らない土地で、ひとりになって、つま先立ちする以外方法がないくらいの孤独感」

「ローマに渡り、他の作品と比べると、自分の作品は、隅から隅まで仕上がっているのに、声が小さい(発言力が小さい)と感じた。」

「それまでの絵本は可愛いくて似たり寄ったり。女の子を後ろ姿、男の子を前にしたら、面白いねって」

「少しまごまごしている人をバックアップしましょうよ」

「お互いの作品には関心がないけど、アトリエから聞こえてくる音が好き」

関連企画アーティスト・トーク「高橋秀+藤田桜に聞く」に参加

高橋秀さん、藤田桜さんご本人がゲストのアーティスト・トークがあるとのことで参加してきました。もちろん手話通訳付きです。整理券の配布開始時刻の5分前に到着したところ、124番と定員140名ギリギリの番号でした。

「高橋秀+藤田桜ー素敵なふたり」関連企画アーティスト・トーク「高橋秀+藤田桜に聞く」に参加

しかし、藤田桜さんは、連日続く暑さのなか東京を訪れることが難しく、残念ながらご欠席でした。高橋秀さんお一人での上京でしたが、購入したばかりのご自身の杖ではなく、間違えて桜さんの杖で東京まで来てしまったお話は、なんとなくお二人の仲の良さを感じました。

トークショーは、はじめに会場に来れなかった桜さんからのビデオレターの上映からはじまり、その後は高橋秀さんと世田谷美術館長、企画展の担当学芸員の3人で、質問に台本があるわけでもなく、思いついたことをその場でお聞きする形でした。

イタリア政府から奨学生として招待され、ローマでの暮らしが始まるのですが、選考試験のイタリア語の面接の話や、ローマで暮らし始めたころの失敗話など、終始笑いが絶えない和やかな雰囲気のトークショーでした。ポスターや作品から想像する高橋秀さんはもっと強面のイメージだったのですが、柔らかく、おちゃめな印象。

作品の写真もご自身で撮影されるそうで、ローマの暮らしでの野菜作りに関しても、なんでもプロ並みじゃないと嫌と、なんでもこなしてしまう努力と多才な方。

世田谷美術館に併設するレストランにはコラボメニューも

お二人に深く関わりのある土地の食材や料理方法を用いたコラボメニュー。運ばれてくる彩り豊かなメニューは、見ているだけでも楽しかったです。特に、パプリカやかぼちゃのペーストをシート状に加工したタコのマリネは、藤田桜さんの作品を見ているようで楽しくいただけました。そのほかにも、ほんのりと白桃の香りが広がる白桃の冷製カッペリーニやローマ風にアレンジしたお料理、瀬戸内海をイメージした冷たいブイヤベースなど、バラエティに富んだお料理が、展覧会を見たあとの余韻をさらに楽しく味あわせてくれました。

高橋秀+藤田桜 素敵なふたり展コラボメニュータコのローマ風マリネ

最後にショートムービーの中で、「似たような職業のふたりが、どのように暮らしているのか見てほしい」とあるように、互いの作品には無関心と話してますが、互いの存在を感じながら、自作に挑み続ける、空気感のようなものが伝わってくる展覧会でした。

世田谷美術館での展覧は9月1日終わりですが、これから倉敷、伊丹、北九州と2020年2月まで続きます。

高橋秀+藤田桜-素敵なふたり展
2019年7月6日(土)~9月1日(日)世田谷美術館
2019年9月14日(土)~10月22日(火・祝) 倉敷市立美術館
2019年11月2日(土)~12月22日(日)伊丹市立美術館
2020年1月4日(土)~2月24日(月・振)北九州市立美術館


執筆者:tata

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