夏の漬け酒 はじめての挑戦~スイカ編~

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夏も終わりに近づいてくると「今年は夏らしい事したかな?」「何かやり残したことは?」などと妙な寂しさや焦りを感じます。そして何かしら爪痕を残せるような出来事はないものかと…。夏の風物詩といわれるモノ・コトのひとつくらいは楽しみたい。

ということで、身近な食べ物でいえば、やはりスイカですよね!?夏の間に一度は味わいたいものです。(苦手な方はごめんなさい!)

ドライスイカの漬け酒

過去の苦戦に囚われずに挑戦するべし

「夏のチーズと漬け酒のマリアージュ」という会を開くにあたり、スイカの漬け酒を作ってほしいとリクエストがありました。これまでいろいろな具材で漬け酒を楽しんできましたが、まだ挑戦したことのない食材も多く、スイカもそのひとつです。さらにスイカはカシャッサとの相性も良く、ライムと砂糖を加えたカクテル「フルーツ・カイピリーニャ」にしてもとても美味しく、現地ブラジルでも人気メニューのひとつでもあります。

でも「漬け酒にはどうかな?」と一瞬躊躇してしまいました。お断りしようかとも。

何故かというと、シャリシャリした食感で水分の多い食材は、漬け酒にすると水っぽくなり、個性がぼやけてしまいます。生で食べたときの良さである食材そのもののイメージを表現するのが難しいのです。

以前、リンゴや梨を漬けた時には、ずいぶん苦戦を強いられた事を思い出します。その時は、食材を生かしたリンゴのタルトやアップルパイなどの焼き菓子を参考に、なんとか美味しく仕上げる事ができました。

そして、後にリンゴを乾燥させてリベンジしたときに瑞々しさを残しつつ、よりおいしく仕上がった事も思い出したので、今回はその経験も活かして、せっかくの初挑戦を楽しんでみることにしました。

生のスイカと乾燥スイカの漬け比べ

具材の準備

早速、生のスイカと乾燥させてドライフルーツにしたスイカを、それぞれ200mlの小瓶で漬け比べてみます。

まず食材の調達ですが、「乾燥スイカ」に未だかつて巡り合ったことがない…。検索してみると予算的に厳しいので、まずはフードドライヤーで自分で乾燥させてみる事に。

58℃で約18時間後ー、当たり前ではありますが、ペラッペラになります。スイカはほとんど水分ですからね。元の重さの10分の1くらいになります。 味は、ほんのりトマトのような塩気を含みつつ、じわじわ甘さが滲み出てきて、後味もしっかりしていました、皮の部分も嫌な青臭さはなく、野菜チップスのような感じ。具材として、バッチリ使えます。

ベースのお酒を決める

つぎに、それぞれとのペアリングで相性の良かった銘柄を選びました。

最初からジュワッと甘味が広がる生の西瓜には、キレと厚みのある酒質のカシャッサ51を。

ジワジワと滲み出て後味の濃いドライ西瓜には、清涼感とサトウキビの旨みがしっかり感じられるウェーバーハウス・シルバー(プラタ)を。

漬けはじめて3日後の味見では、双方ともに抽出具合は順調。ちゃんと西瓜です。 さらに4日後、風味はより深まり、期待も高まります。 ここで、スパイスを投入。チーズとの相性を前提に、オレガノをアクセントに加え、味を引き締めます。

そして、10日目で完成。

初挑戦のスイカの漬け比べの結果は、どちらもアリ!スイカの甘みとほどよい瓜の風味、オレガノ効果で味わいにメリハリがつき、良いバランスで、おいしく仕上がりました。チーズとも合いそうです。

ただ、ひとつ課題は、生の方は水分量が多く体積がありますから、原酒があまり入らず、飲める量はかなり少なくなってしまいます。乾燥させた方と比べるとなんと約4割程度しか飲めない!これは悩ましいです。それと、味のピーク期が短いので、フレッシュさを味わうために、完成のタイミングを図る必要はあります。 なので、生の具材なら、大きめの容器でつくり、完成後はお早めに召し上がっていただくことをオススメします。

はじめてを

というわけで、今回の会ではドライスイカを具材に採用しました。ちなみに、チーズとのマリアージュにはフレッシュタイプの「リコッタチーズ」や「フェタチーズ」が特に相性が良かったです。

自分では思いつかなかったものをリクエストで漬け酒にしてみるというのは、とても新鮮な感覚で楽しく、学びもあり、まさに「何事にもはじめてがある」を実感できる嬉しい体験でした。

これからも漬け酒を通して、どしどしいろんな「はじめて」を楽しみたいと思う2021年夏のお話でした。

執筆者:漬け酒研究室 山本浩二

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